高速道路が好きだ。
そこにある総てが大抵好きだ。
渋滞は好まないけれど、マナーの悪い車がいなければそれ程嫌ではない。
そこには距離があり、差異があり、現実と未来があり、運動と規則正しさがあり、スタートとフィニッシュがある。おまけに“最終地点” だってある。これは魅力的な単語だ。
とくに緩やかに上昇する直線と、逆に優雅に下降するカーブなどは筆舌に尽くし難い。ああ、こういう時に絵を描いていて良かったと思う。月並みな言い方だが、言葉にできないものを絵にする術を、持ちうる事に感謝する。(完全に持っている訳ではない、ただ持ちうるというだけの事だが。)
誰にでも、理由もなく何かを得る瞬間があると思う。
或いは何かを得るような直感が訪れる事があると思う。
理由もなく心を掻き乱されたり、嬉しくなったりする経験があると思う。
そんな時目の前には何かしらの風景・情景が広がっている。
私は主体的に風景を「選んで」見ている気がしていたが、もしかしたら風景が私を選んでいた瞬間もあったかもしれないと思う。そこに展開された風景は何事かの啓示であり、感情を掻き立てる何者かの提示であったのかもしれない。
時として我々は、風景を作り出すと同時に、むしろ風景に選ばれ含まれている。
コメント
コメント一覧 (8)
夜浮かび上がる光ある高速道路の景色は特にすばらしい。。
首都高とか、芸術だと思います。都会を縫う電子回路みたいで。
絵でしか表現できないものを表そうとする気持ちがまた絵を
よくするのかもしれませんね〜
わたしも時々とてもかけがえのないものを持っているような
気分になります。
遊びに行った帰り道、夜景の連なりと規則的な高速の
外灯を見てると、ぼんやり幸せな気になるよ。
あと、緑いっぱいの山とか雪に埋もれた畑とか。
自称都会派の私だが(?)大きな、自分ではどうにも
できない景色の中にいると、自分の小ささを感じて
悲しくなったり、逆に守られている気になったりする。
絵で表現できるひとが羨ましいなぁ…
描くことが伴戸ちゃんの役割ならば、私の役割は
子どもたちに「朝顔についた露の輝き」とか
「蟻の行列の規則正しい美しさ」とかを教える事かしら…
私は縫いぐるみを作っている、あやと言います。
(ミクからきました)
高速道路をそんな風に見た事は私はありません。。
だから文章を読み、とても納得させられるものがありました。
きっとこれから高速を走る時はそう感じられるのだろうと思うと、
ここへ訪れたことがとても意味のあることのように思えます。
風景が私を選ぶ。
ほんとにそのとおりかもしれませんね。
日本画は、私にとってあまり身近なアートではありませんでした
(日本人なのに)気が付けば洋画ばっかりで、最近ようやく
日本のアートに触れる楽しさを知りはじめている私です。
文章と、紹介者達の言葉を見て、一度実際に作品を見たくなりました。
また足を運ばせていただきます
突然訪れました。
そして読みました。
そしていきなり感動しました。
風景が私を選ぶのか。。
夜は特にいいですよね!朝や薄曇りも好きだけれど、夜の風景には確固たる輪郭のようなものがある気がします。「都会を縫う電子回路」まさにその様に見えますね。その回路は何を支え、何を志向するものなのかと考えさせられます。
>MIEKO嬢
自然の中で相反するかのような様々な感情を得られるのは、そのまま自分自身の内面的(時には直感的な)感受性の広さ故だと思う。
そういう事を自分の子供に教えられるって凄いことだね。そうして育っていく子供達は、かけがえのない作品なのではないかなーと思う。勿論、3人とも傑作!
はじめまして。
私の言葉の表現には、やや癖があるかもしれません。「意図的・構築的な言葉」と「言葉によって導かれるコトバ」とが混在してしまうのだと思います。でもその混在の中に思いがけない発見があることがあります。
これは絵画制作にも当てはまることですし、おそらく縫いぐるみを作られる時にも、同じことが起きているのではないかと思います。
私の絵はあまり「日本画的」ではないかもしれませんが、これもまた現代の一断面ではあります。そのようにご覧下さればと思います。
>
はじめまして。
選ぶという行為には、何らかの意思が存在しています。では何によって選ばれているのか?それは人それぞれなのでしょうね。また同じ人間であっても人生の時期によって異なるものなのではないかと思います。
流動的且つ有機的なものに生まれて、日々はつくづく不思議だし興味深いなと思う今日この頃です。
現在プー太郎のBOBYです。
この間はお世話になりました。
トラックバックを送りましたので、
私のBLOGにも遊びに来てください。
では、では。。。
こちらこそ先日はありがとうございました。
プー太郎とは言ってもKさんの場合は「経歴が立派過ぎて決まらない」んですよね。凄いですね。頭脳回路はどんな風になっているのでしょう?