ニューヨーク市立図書館はグランドセントラル駅に程近い場所にある、大きな美しい建物です。
ここで2月まで行われている「word」展を見に行きました。これは中世の装飾バイブルをテーマとした展覧会で、主に14−15世紀頃の手彩色のバイブルを見る事ができます。
ここでは非常に細やかな美しい作品を見る事が出来ました。バイブルには文頭の頭文字だけを拡大して装飾する手法がよく見られます。日本では文字そのものの形を、他の絵柄や図形で装飾するということはあまりありません。おそらくその分の意識を紙に装飾を施すことに費やしてきました。文字などを書く為に金銀箔を多用して作られた美しい和紙のことを「料紙(りょうし)」と呼びます。“文字そのものを装飾する考え”と“文字を置く地を装飾する考え”、この差は東洋と西洋の性質に関わる何かを、物語っているような気がします。
展示物の1つに日本画の群青のような粒子を感じる青色絵の具を使用しているものがあり、興味を引きましたが、残念ながら素材についての詳しい記載がなくはっきりしませんでした。またこちらの展示には珍しく、アクリルケース入り&微照明であったので画像も撮れず残念。見たところ日本画絵の具10番くらいの粒度で、色は濃口群青そのもの。ラピスラズリにしては紫味が強く見えるので、やはり藍銅鉱かと思う・・・けどどうかなぁ。
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さてその青色顔料ですが紫味が強ければ、ラピスラズリの可能性が強いと思います。ただ15世紀後半のものであればスマルト(酸化コバルト)の可能性も出てくると思います。
慨して中世の青色顔料でやや緑味のものはアズライト、紫味のものはラピスラズリということが多いと思います。
でも10番くらいの粒子と言うのがひっかかりますが!
お久しぶりです!私が見たのは14世紀中期頃・オランダで制作された世界地図の海洋部分に塗られた青色絵の具でした。照明に赤みがあり暗かったので今ひとつ色味に自信がありませんが、紫味が強い場合はラピスなのですね。勉強になりました。でもかなり濃くて不透明な青色なんですよ、感じとしてはすごく藍銅鉱ぽいんです。キャプションに素材の注釈があると非常に分かりやすくていいんですけどね。
中世の豪華写本(なんかよくわからないままに「ベリー公豪華祈祷書」とかいうプレーズには胸の高まる響きがありますねえなど興味のある分野ではあったのですが、そういうのの展示企画があることに気が付いてませんでした。イベント大杉です>NYC
ところで日本の場合は文字に対する美意識がある意味ストイックな方向に向かったんですかねえ? 日本刀に宝石とか埋め込まないとの一緒で。
そういや中国でも世界史の時間で習うような有名な書家がいたりしましたよねえ、まあ表意文字と表音文字の違いもありそうですよね。
こちらこそ、先日は楽しかったです。ありがとうございました!NYCは本当にイベントだらけですね、オペラ&クラシックファンとしては年末〜年明けにかけて益々忙しくなるのではないですか?
確かに日本文化はストイックですよね、茶の湯に代表されるように「禅」思想の影響かもしれません。中国では景教(キリスト教の一派らしい)が盛んになり、日本では禅が盛んになったあたりから、中国と日本の美的感覚の差が出てくるような気がしますね。宗教の力はすごいですねぇ。