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出光美術館にて今日まで風神雷神図屏風展が行われていた。約400年前に俵屋宗達が描いた風神雷神図屏風。宗達の後継者と言われる尾形光琳は宗達のそれと全く同様の図像を描き、さらに光琳から数十年後、酒井抱一もそれに習った。実はこの「琳派」の代名詞とも言える3人の「風神雷神図」が同時展示されるのは約60年ぶり、今回は貴重な3人の作品を一挙に展覧できるまたとない好機であった。

宗達の大胆で大らかな線、光琳の洗練された色使い、抱一のユーモラスで優しい画面。同じ図像を描いても、そこには三者三様の個性が見て取れる。光琳は宗達の作品を強く意識しつつも、宗達への敬意ゆえか大きな変化を加えず、ほぼ模写といっても良いようなもう1双の風神雷神図を描いた。抱一は光琳の作に習いつつも、随所に自分なりの解釈を加えた風神雷神図を作り出した。

 

彼らの生きた時代はそれぞれ約100年弱の時間差がある。100年前に描かれた素晴らしい作品を前にして、画家が同じ主題で同様の形態で作品を描くという事実からは、先人への深い尊敬とその技を継承しようとする決意を感じとることができる。それは言い古された言い方かもしれないが、まさに「古典への挑戦」といえるだろう。宗達は中国の古典から取材し、光琳は宗達の作品に学び、抱一は光琳の作品に憧れた。3人の挑戦がもたらした時代を超えた競演は見るものを圧倒する。

 

出光美術館

http://www.idemitsu.co.jp/museum/