Olafur Eliasson

金沢21世紀美術館にて開催されているオラファー・エリアソンの個展「あなたが出会うとき」を見に行きました。オラファー・エリアソンはデンマーク生まれの美術家で、光・影・水など自然現象を取り入れたインスタレーション等の作品で広く知られています。来館者が自身の動きに反応した作品に対面することで、時間・空間やそれらと密接に結びついた自身の存在を再認識したり、作品という「場」を通して周囲の環境や人々との関係を浮かび上がらせるような作品を多く発表している作家です。

オラファー・エリアソンの作品には、押し付けるような理論も威圧感のある素材も、どんな仕組みになっているのか想像もつかないような技術的な力ワザもありません。とても高度で洗練された作品ですが決して難解すぎず、いつもどこか詩的でさりげない温かさがあるように感じられます。

 

今展のなかで最も印象に残った作品は「水の彩るあなたの水平線 (Your watercolor horizon)」。円形の展示室に大きな水盤が置かれ、水に反射した虹色の光が部屋の壁に映し出される作品です。訪れる人の動きに反応して水面が揺れる仕組みになっており、その瞬間だけ 永遠に途切れることのない虹色の水平線が、静かな波紋となって揺らぎます。

真っ暗な展示室であまりに美しい虹色の水平線に囲まれていると、地球の真上に浮かんでいるような、虚空の中に唯一人で佇んでいるような錯覚に陥ります。しかし時折あらわれる波紋=人の気配を感じることで他者と繋がり合い、時空を共有しあっていることを実感させられます。長い旅の終わりに ふいに懐かしい声を聞くような、不思議な安らぎと充実感を感じました。

他にも人の動きによってカラフルな影が生まれる「ゆっくり動く色のある影」、これに万華鏡の要素を組み合わせたような「色のある影絵芝居」。霧が立ちこめる部屋を歩いていくと様々な色彩に包み込まれる「あなたが創りだす空気の色地図」。ストロボによって動く水の形が静止したオブジェのように見える「動きが決める物のかたち」など知覚を刺激される作品を見ることができます。

 

金沢21世紀美術館は世界的に注目を浴びる日本人建築家ユニットSANAAによる設計。作家はその建築コンセプトに共感してこの展覧会を構築したのだそうです。光の下で、影の中で、霧のむこうで、あなたはどんなものに出会い、何を見つけるのだろうか、そしてどこへ行こうとするのか―美術館全体を使った展示・作品からはそんな問いかけが聞こえてきます。この場だからこそ成立する作品なので、遠方からでもぜひ訪れてみて欲しい展覧会です。

 

●「オラファー・エリアソン / あなたが出会うとき」

2009年11月21日〜2010年3月22日

金沢21世紀美術館

http://www.kanazawa21.jp/
 

●オラファー・エリアソン公式HP(作品画像が見られます)

http://www.olafureliasson.net/index.html